
東京都社会福祉協議会の相談員研修会の「スキルアップ研修会」にスーパーバイザーとして本年度関わらせていただいています。相談員経験3年未満の皆さんと一緒に勉強させていただき、多くのことを教えられています。
この研修会(昨年までは名称が違っていましたが)では、現在、12月に行われるアクティブ福祉イン東京の発表を目指し努力されています。(12月18日 開催 詳しくは東京都社会福祉協議会へお問い合わせください)
一つ一つのグループ報告には、私自身とても質の高さを感じていますので、是非、この報告に留めないで、色々な学会で他流試合をなさることをお勧めしています。
この中で、私が実は密かに楽しみにしているのは、「ソーシャルワーカーとしての相談員のアイデンティティ」に関する2つの報告です。
ケアマネジャーという資格が法定化され、そして老人ホームにも必須配置になった現在、一体、相談員は利用者支援においてそれと何がどう違うのかということに関する問題意識を深めようとしている報告です。
特別養護老人ホームにおける相談員は、いわば二つの顔があると思います。
一つはソーシャルワーカーとして、そしてマネジャーとしてです。
マネジャーとしての相談員は、組織をきちんと動かす力が必要でしょう。
一方、ソーシャルワーカーとしての相談員は、生活問題に直面する高齢者に対する福祉支援の力が問われているのでしょう。
いってみれば、前者がサービスの一般化という視点、後者がサービスを個別的に見る視点ではないでしょうか。また前者がケアマネと重複する部分であり、後者が相談員の独自性ともいえるかもしれません。
マサチューセッツ工科大学のドナル・ショーンは、「これまでの科学的合理的適用を実践原理とする技術的熟達者としての専門家は、今日のクライエントが抱える複雑で難解な問題に対応できず、クライエントと共に現実の複雑な問題に従事する「反省的実践家」という新しい専門職が登場しつつある」と指摘しているそうです。
そしてこうも述べています「反省的実践家は、専門の狭い理論や技術を実践に適応するのではなく、泥沼のような現実の状況にクライエントと共に身をおいて、『行為の中の省察』(勝手な解釈ですが、現場の人から照らされる(照らし出される)何か)という実践的認識論を基礎として経験に基づく見識と幅広い知見に基づいて複雑で難解な問題と格闘している」。
つまり、現代社会の問題というのは、ある理論を適用すれば解決できるものではなく、何処までも現場に身をおいて、利用者とともに「どろどろ」になる「かっこ悪さ」「到底おしゃれじゃない無様さ」が必要ではないかということなのでしょう。ここに高い専門性を認めねばならないと・・・
ここがマクドナルド型イージーマニュアル社会との決別を示唆しているところかもしれません。
この研修会の報告を聞いていて私が面白いなと思ったのは、マニュアル作成と事故発生に関する調査結果でした。
私の記憶が間違っていなければ、「マニュアル作成の有無と事故発生の件数は、比例する」というものです。つまり「マニュアルが整備されている施設ほど事故が多い」
これは一体何を明らかにしているのでしょうか。
これにはいくつかの考え方があります。
1)マニュアルが作成されているので、「事故」が規定されている。(何が事故かが明確になっているから事故認知件数が増大する)
2)マニュアルが作成されているということで、現場(個人や状況)の個別性が棄却されやすい(マニュアル通りにやることで、事故が誘発されている)
3)マニュアル作成が『絵に描いたもち』になり、何ら事故抑制に効果を果たしていない
作ることに意義あり!!(いわばアリバイ)
一つ一つ検証せねばならない問題ですが、一般化の有効性とその限界を考えることの貴重なデータではないでしょうか。
そして、まさにソーシャルワーカーとして相談員が一般化の原則を超えて「個的」に関わる反省的な洞察力が問われているのではないでしょうか。
